二条にじょう)” の例文
旧字:二條
これに目を留められたのが、二条にじょう天皇で、元々、女好きのみかどであったが、事もあろうに先帝の未亡人に想いを寄せ始めたのである。
二条にじょうから半時はんときごとに花時をあだにするなと仕立てる汽車が、今着いたばかりの好男子好女子をことごとく嵐山の花に向って吐き送る。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
二条にじょうの足跡が印されている、見取図に包まれているのが何であったろうか、意外にもそれが、写真乾板の破片だったのである。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
ふけの二条にじょうの城の居間に直之の首を実検するのは昼間ひるまよりもかえってものものしかった。家康は茶色の羽織を着、下括したくくりのはかまをつけたまま、式通りに直之の首を実検した。
古千屋 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
つまり、扉口から窓際に向っている二条にじょうのうちの一つが、一番最後にあまってしまうのだよ。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
(家康は四月十七日以来、二条にじょうの城にとどまっていた。それは将軍秀忠ひでただの江戸から上洛じょうらくするのを待ったのち、大阪の城をせめるためだった。)この使に立ったのは長晟の家来けらい関宗兵衛せきそうべえ
古千屋 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
浮かれ人を花に送る京の汽車は嵯峨さがより二条にじょうに引き返す。引き返さぬは山を貫いて丹波たんばへ抜ける。二人は丹波行の切符を買って、亀岡かめおかに降りた。保津川ほづがわ急湍きゅうたんはこの駅よりくだおきてである。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)