了解のみこ)” の例文
家へ帰つて色々古い書物をあさつて見ると、封を解く呪文じゆもんだけはうにか了解のみこめたが、さて封を解いたものかうか一寸始末に困つた。
聴いて見ると間違つた理屈でもなし、村寺の酒飲和尚さけのみおしやうよりは神々の名も沢山に知つてゐる。天理様の有難味も了解のみこんで了解のみこめぬことが無ささうだ。
赤痢 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
算術は四則だけは如何どうやら斯うやら了解のみこめたが、整数分数となると大分怪しくなって、正比例で一寸ちょっと息をく。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
はっと思った瞬間に、はっきりと了解のみこめました。われわれは落雷にうたれたので、火夫は即死して線路に墜落し、私はそのまま体が痺れてしまったに違いないのです。
医者は老人としより了解のみこめるやうに話すには、なか/\骨が折れた。大抵の真理といふものは、老人としよりのためには拵へてない場合が多かつたから。
其處へ以て松太郎が來た。聽いて見ると間違つた理窟でもなし、村寺の酒飮和尚さけのみをしやうよりは神々の名も澤山に知つてゐる。天理樣の有難味も了解のみこんで了解のみこめぬことが無ささうだ。
赤痢 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
と雪江さんが一寸ちょっと驚くのを、阿母かあさんが眼に物言わせて、了解のみこませて
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
そして婆やが了解のみこめないやうな所があると、すぐそれをもつと解りやすい文句に書き直したものださうだ。
茶話:12 初出未詳 (新字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
これで了解のみこめたから、私もいい加減にバツを合せた。そして
札幌 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
と旗本は丁寧に礼を述べたものの、何が書いてあるのかうしても読み下せなかつた。新右衛門に訊いて笑はれるのも業腹ごふはらなので、どうにか了解のみこめたやうな顔をして
これで了解のみこめたから、私もいい加減にバツを合せた。そして
札幌 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
自分の扮する女主人公の心持を演出するのに、長らく苦労を積んで来た須磨子は、自分の感情を支配し統御するだけの落付きをも、多少は了解のみこんでゐる筈だからと思つてゐた。
だが唯一つ感心なのは、ウヰルソン氏に解り兼ねた牧師のお説教が、うやら夫人には了解のみこめたらしい事だ。猫の声、あかんぼの声——すべて男に解らないものを読みわけるのが女の能力である。