乾葡萄ほしぶだう)” の例文
「それ、ウオツカと乾葡萄ほしぶだうだぜ、露助め素的すてきな物をくれよつた。あの爺さんに分けるんだが、どうせびんごと此所こゝに置くから勝手に飲むが好いや。そら一寸やつて見ねえ。」
煤煙の匂ひ (新字旧仮名) / 宮地嘉六(著)
たちまあいちやんは洋卓テーブルしたつたちひさな硝子ガラスばこがつきました。けてると、なかにはちひさな菓子くわしがあつて、それに『おあがり』と美事みごとちひさな乾葡萄ほしぶだういてありました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
末松夫人は先刻きつきから悪い者が通りかゝつたと思つて、身体からだ乾葡萄ほしぶだうのやうに平べつたくして、成るべく見つからないやうにしてゐたが、老人に呼びかけられて、強ひてぢ曲げるやうに笑顔を作つた。
請ふ、なんぢら乾葡萄ほしぶだうをもてわが力を補へ。
三つのなぜ (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)