)” の例文
茫々として万事、皆夢の如し。わが曾て岳父御しうとごに誓ひし一生不犯ふぼんの男の貞操は、かくして、あとかたも無く破れ了んぬ。
白くれない (新字新仮名) / 夢野久作(著)
洞窟の隅から暗いところへ洞壁を背にして坐り込み、金剛杖を膝にのせ、ボンヤリとしているのであった。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
たといその信仰の迷えるにもせよ、断々一種他の力のいかんともし難きものありて存せるならむ。
海城発電 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
今日きょうは殊にこの国に来たところの目的を達した訳ですから何となく喜びの感に堪えず、巍々ぎぎたる最高雪峰ゴーリサンガも一際ひときわ妙光を満空に放ち洋々として和楽するがごとくに見えて居ります。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
飄々として遣って来た。
岷山の隠士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)