主計頭かずえのかみ)” の例文
肥後熊本の加藤主計頭かずえのかみの臣としたり、吉岡太郎左衛門の二男といったり、巌流島を仇討としていたり、記載のまちまちなのは実におかしい。
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ちとこれは他言をはばりまするが、遠藤主計頭かずえのかみ様が、お忍びでちょくちょくと参られまするでござります」
この寛永の大造営には、酒井さかい備後守びんごのかみ永井ながい信濃守しなののかみ井上いのうえ主計頭かずえのかみ土井どい大炊頭おおいのかみ、この四名連署の老中書付、ならびに造営奉行秋元あきもと但馬守たじまのかみのお触れ書が伝えられている。
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
四月十二日に入牢して、吉五郎は北町奉行榊原主計頭かずえのかみの吟味をうけることになったが、他の同類がひとりも挙げられていないので、かれはあくまでもその犯罪を否認した。
拷問の話 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
一番は小西摂津守行長、松浦法印鎮信以下一万三千、二番加藤主計頭かずえのかみ清正以下二万二千、三番黒田甲斐守長政以下一万一千、更に四番から二十番まで総軍合せて二十八万である。
碧蹄館の戦 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
住吉すみよしの姫君がまだ運命に恵まれていたころは言うまでもないが、あとにもなお尊敬されているはずの身分でありながら、今一歩で卑しい主計頭かずえのかみの妻にされてしまう所などを読んでは
源氏物語:25 蛍 (新字新仮名) / 紫式部(著)
篠部淡路守、津田雅楽助うたのすけ、山岡主計頭かずえのかみ、前田主水正もんどのしょう、不破萬作、雑賀虎、山田三十郎、山本主殿助とのものすけ、志水善三郎、外に隆西堂が淋しく従い、奈良坂を過ぎて般若寺のあたりに暫く輿をとゞめつゝ
聞書抄:第二盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「わしの伜のいる所じゃ! 南町奉行所の仮牢じゃ。わしが参って、奉行の主計頭かずえのかみ、与力の東儀三郎兵衛、それに羅門塔十郎の三名をならべて説破せっぱいたすから、其方そのほうも立ち合え」
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
主計頭かずえのかみはそう言って、なお、何か打合せをすました上、ふたりを連れて、書院へ出た。
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
奉行の主計頭かずえのかみ、東儀与力の影も、そこにした。
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)