不良わる)” の例文
『これ、お作や。御辞儀しねえかよ。其様そんな他様ひとさまの前で立つてるもんぢや無えぞよ。奈何どうして吾家うちの児はう行儀が不良わるいだらず——』
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
「自分じゃんともおもっていないんですけれど……それに別に何処どこ不良わるいということがないんでございますが……。」
香爐を盗む (新字新仮名) / 室生犀星(著)
「そうでしたね。でも私何ですか、少し気分が不良わるいようですから、今度ひとりで参りますわ。それに坊やのおなかがまだほんとうでないんです」
秘められたる挿話 (新字新仮名) / 松本泰(著)
「さうかい。何処どこ不良わるいところは無いやうかね」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
不良わるいのかね。)
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
娘はA老人の先妻の子で、現在のA夫人は数年前から倫敦ロンドンへ別居している。A老人の容態は日一日と不良わるくなっていった。
緑衣の女 (新字新仮名) / 松本泰(著)
『失敬するよ、僕は斯様こんなものを着て居るから。ナニ、君、其様そんなひど不良わるくも無いんだから。』
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
みんなが樂しさうに歸國して行つたあと、まるで私だけが投げ出された乾びた鮭のやうに、中庭の日あたりの不良わるい檜葉の埃じみた立木や、冷たさうな八ツ手などを眺め暮してゐた。
蒼白き巣窟 (旧字旧仮名) / 室生犀星(著)
「ところがお気の毒にも、お父様の容態は昨晩から急に不良わるくなって、今朝方とう/\お逝去なくなりになったのです。」
緑衣の女 (新字新仮名) / 松本泰(著)
「二三日べつに不良わるいものも食べなかったから、乳のわるい筈はない。」
童子 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
はゝゝゝゝ、瀬川君の病気は不良わるくなるのも早いし、くなるのも早い。まあ大病人のやうに呻吟うなつてるかと思ふと、また虚言うそを言つたやうになほるから不思議さ——そりやあ、もう、毎時いつも御極りだ。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
儂は寝付が不良わるくって困っておるのでな、夜分庭先などを歩かれると、気になって仕方がないのだよ
日蔭の街 (新字新仮名) / 松本泰(著)
そうです。最初はそれ程お不良わるいとも見えなかったですが、もと/\心臓はおよわかったようです。昨夜は倫敦ロンドンから奥様と甥御さんがおいでになって、附切りでご看護を
緑衣の女 (新字新仮名) / 松本泰(著)