不善ふぜん)” の例文
おれの頭のうちき上る想像なり幻影なりは、藝術的には非常に美しいが、どう云うものか道徳的にははなは不善ふぜんなものが多い。
小僧の夢 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「偉大かも知れない、僕が負けるんだから。けれども大概は僕のよりも不善ふぜん不美ふび不真ふしんだ。僕は彼らに負かされる訳がないのに負かされる。だから腹が立つのだ」
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
是非の心偏すれば、民或は兄弟かきせめぎ父子相うつたふ者有り。凡そ情の偏するや、四たんと雖遂に不善ふぜんおちいる。故に學んで以て中和をいたし、過不及かふきふ無きにす、之を復性ふくせいの學と謂ふ。