下肢かし)” の例文
長い足を楽に延ばして、それを温泉の中で上下うえしたへ動かしながら、とおるもののうちに、浮いたり沈んだりする肉体の下肢かしを得意に眺めた。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
直ちにそれを実践に移しうるような頑丈な下肢かしによって支えられていること、逆にいえば、大地に根をおろして、その上で虚空こくうの果までも漂い行かんとする思惟
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
頸筋くびすじから胸へかけての曲線は、世にもあでやかなスロープをなし、その二の腕といわず下肢かしといわず、牛乳をたっぷり含ませたかのように色は白くムチムチと肥え
振動魔 (新字新仮名) / 海野十三(著)
昨夕さくせき八時三十分アフイミアは汁を盛れるへいを持ちて彼の階段を通過する際、終に倒れて下肢かし骨折をなせり。吾人は不幸にして未だルキアノツフ氏の該階段を修繕せしむるに意ありや否やをつまびらかにせず。