下塗したぬり)” の例文
と言葉じりもしどろになって、あご引込ひっこめたと思うと、おかしく悄気しょげたも道理こそ。刑事とおどした半纏着は、その実町内の若いもの、下塗したぬり欣八きんぱちと云う。
菎蒻本 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
肉はひからび、皮しなびて見るかげもないが、手、胸などの巌乗がんじょうさ、渋色しぶいろ亀裂ひびが入つて下塗したぬりうるしで固めたやう、だ/\目立つのは鼻筋の判然きっぱりと通つて居る顔備かおぞなえと。
二世の契 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
お不動様の御堂みどうたたいて、夜中にこの話をした、下塗したぬりの欣八が
菎蒻本 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)