上玉じょうだま)” の例文
その晩はまずそういった調子です。しばらくして座敷へ来たのを見ると思ったよりは上玉じょうだまでした。何も彼も忘れずにおぼえて居ります。
あぢさゐ (新字新仮名) / 永井荷風(著)
無理矢理に奥へ引っぱり込まれた。アハハハ。上玉じょうだまと見られたな。そこへ王君が出て来て最高級の御挨拶をした。アッハッハッハ。コイツは大笑いだ。王公ワンこう一代の傑作だろう。
焦点を合せる (新字新仮名) / 夢野久作(著)
じつはこちらさまにきっとお気に入ること大うけあいという上玉じょうだまがありましたもんで、それを迎えに行っておりましたような次第しだいで——ところがこれが埼玉さいたまざいでございまして
什器破壊業事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
これは古渡こわたりの無疵むきず斑紋けらのない上玉じょうだまで、これを差上げ様と存じます……お根付、へい左様で、鏡葢かゞみぶたで、へい矢張り青磁せいじか何か時代のがございます、琥珀こはくの様なもの、へえかしこまりました
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「まあ、いいだねえ、上玉じょうだまだよ」
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
然るに浜町の白首、俗に高等とよびしもの衣裳容貌山の手の芸者に劣らざるものにして待合席料一円、女なみ五、六十銭より上玉じょうだま一円どまりにて別に女中の祝儀は取らず。
桑中喜語 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)