三個みっつ)” の例文
それは今日の昼飯ひるめしに怪しい僧にもけ、じぶん達もったような三個みっつ黍団子きびだんごであった。顎髯の男はうんと云って背後うしろに倒れて気を失った。
岩魚の怪 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「では、叔父様には、淀屋の独楽の——三個みっつあるという淀屋の独楽の、その所在ありばしょもご存知なので?」
仇討姉妹笠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
その脂切あぶらぎった笑い顔を見ると、私はホッと救われたような気持ちになって、バットを三個みっつばかり受け取ったが、とりあえず一本引き出して吸口をつけながら、こころみに聞いて見た。
空を飛ぶパラソル (新字新仮名) / 夢野久作(著)
仆れた襖の奥の部屋に、三個みっつの女の死骸があって、その一個が断末魔の足で、襖を蹴ったに相違なく、その足が痙攣けいれんを起こしながら、だんだんに延びて行くのが見えた。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
……しかるに辰五郎、事の起こる前、ひそかに家財の大半を分け、絶対秘密の場所へ隠し、その隠し場所を三個みっつの独楽へ……とここまで申したら、万事推量出来るであろう。
仇討姉妹笠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
杭は、わずかにその位置を変えたばかりで、同じ姿勢で立ってい、その前の地面に、三個みっつの死骸が——波の引いた海上に、小さい黒い岩が残ったかのように、転がっていた。
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)