万戸ばんこ)” の例文
そこで、天下に触れを廻して、もし戎呉の将軍の首を取って来る者があれば、千きんの金をあたえ、万戸ばんこむらをあたえ、さらに王の少女を賜わるということになった。
平和はかえった。いちはひらかれ、諸国の商人もどっと入って来て、万戸ばんこの賑わいに
菊五郎門下の「菊葉会きくようかい」に、九条武子さんの作、四季のうちの「秋」に作曲したが、長安一片ちょうあんいっぺんの月、万戸ばんこ衣をつの声……の、あの有名な唐詩の意味をよく作曲しだして、これはまとまった
朱絃舎浜子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
汴城べんじょう城下、花の都。冬ながら宋朝文化爛漫らんまんな千がい万戸ばんこは、人の騒音と賑わいで、彩霞さいか、煙るばかりであった。禁裡きんりの森やら凌烱閣りょうけいかく瑠璃瓦るりがわらは、八省四十八街のその遠方此方おちこちにのぞまれる。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
こうして、いよいよ、当日となれば、つねの人口の倍にもふくれ上がったかと見える北京中の街は、万戸ばんこ花燈籠はなどうろうを軒にかざりたて、わき立つ歌や、酒の香やら、まさに歓楽の坩堝るつぼと化す。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それ以上降ったら万戸ばんこ洪水にひたされそうに見えたが、やがて祭壇の上から誰やらの大喝が一声空をつんざいたかと思うと、雨ははたとやみ、ふたたび耿々こうこうたる日輪が大空にすがたを見せた。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それらの遊戯三昧ざんまいのみで、万戸ばんこ炊煙すいえんが賑わっていたわけではない。
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)