一双いっそう)” の例文
一双いっそう屏風びょうぶの絵は、むら消えの雪の小松に丹頂たんちょうの鶴、雛鶴ひなづる。一つは曲水きょくすい群青ぐんじょうに桃のさかずき絵雪洞えぼんぼり、桃のようなともす。……ちょっと風情ふぜい舞扇まいおおぎ
雛がたり (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ある時は一弁いちべんの花に化し、あるときは一双いっそうちょうに化し、あるはウォーヅウォースのごとく、一団の水仙に化して、心を沢風たくふううち撩乱りょうらんせしむる事もあろうが
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
青竹を廻した木戸を入ると、中はすっかり土間で、正面の小さい舞台に畳を三枚ほど敷き、一双いっそう金屏風きんびょうぶをめぐらして、真ん中ほどのところに、三尺ばかりの台を据えまして
その時参考品御物ぎょぶつの部に雪舟せっしゅう屏風びょうぶ一双いっそう琴棋きんき書画をえがきたりと覚ゆ)あり。
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
夜はますますくらくなり候まま、きょの如き一双いっそうの眼、暗夜に水銀の光を放ちて、この北のかた三十間、小川のながれ一たびそそぎて、池となり候池のなかばに、五条の噴水、青竜の口よりほとばしり
凱旋祭 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)