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ふたかかえ
やがて二階に
寝床を
拵えてくれた、
天井は低いが、
梁は丸太で
二抱もあろう、屋の
棟から
斜に
渡って座敷の
果の
廂の処では
天窓に
支えそうになっている、
巌乗な
屋造
赤松の
二抱を
楯に、
大堰の波に、花の影の明かなるを誇る、橋の
袂の
葭簀茶屋に、高島田が休んでいる。
思わず胸に縋るお雪の手を取って
扶けながら、行方を
睨むと、谷を隔てて
遥に見えるのは、杉ともいわず、
栃ともいわず、
檜ともいわず、
二抱三抱に余る
大喬木がすくすく天をさして枝を交えた