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ひとかぶ
ル・メルキウル・ド・フランスが初号を
市に
出せし時も、
元より文壇不遇の士の
黄白に
裕なる筈なければ、やむ無く
一株六十
法の債券を同人に募りしかど
わがゐたる
一株の躑躅のなかより、
羽音たかく、虫のつと立ちて頬を
掠めしが、かなたに飛びて、およそ五、六尺
隔てたる
処に
礫のありたるそのわきにとどまりぬ。
ちょうど、
国境のところには、だれが
植えたということもなく、
一株の
野ばらがしげっていました。その
花には、
朝早くからみつばちが
飛んできて
集まっていました。