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たちよ
重田さんが
立寄った。重田さんは
隣字の人で、気が少し変なのである。
躁暴狂でもなく、
憂欝狂と云う訳でもなく、唯家業の農を
抛擲してぶらぶら歩いて居る。
『
私は
中食後散歩に
出掛けましたので、ちょっと
立寄りましたのです。もうまるで
春です。』
うたがひは
懸かる
柳闇花明の
里の
夕べ、うかるヽ
先きの
有りやと
見れど
品行方正の
受合人多ければ
事はいよいよ
闇黒になりぬ、さりながら
怪しきは
退院がけに
何時も
立寄る
某れの
家