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せきこみ
先方にも
貴樣は傳吉ならずやと云ふに
久々にて御目に
懸りたり何の御用にてと
尋ねければ源次郎は大いに
急込たる樣子にて然ば貴樣が三浦やの
暇を取し後
空蝉を
お源のその
慌しさ、
駈けて来た
呼吸づかいと、早口の
急込に
真赤になりながら、直ぐに台所から居間を
突切って、取次ぎに出る手廻しの、
襷を外すのが
膚を脱ぐような
身悶えで
お粂は聞も
終らず
濶と
急込是は
卑怯なり安五郎殿白妙と
逃亡せしのみか何が
證據で重五郎を
口に泡を吹かぬばかりに手真似しながら
迫込て話しせる一老女あり定めし此家の店番なる
可し