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きまぐれ
ひつそりと
怖気づく、ほんの
一時の
気紛につけ込んで
極美しい幸福を
気紛でまずくします。
「
然うさ、
氣紛でもなけア、
俺にはお前を虫干にして
遣る同情さへありやしない。正直なところがな。」と
思切ツていふ。感情が
昂ツて來たのか、
瞼のあたりにぽツと
紅をさす。
固より一時の出來心や、
不圖した
氣紛では無かツたのであるから、さて是れが
容易に解決される問題で無い。第一
妻として
迎へ取るには餘りに身分の
懸隔がある。
家庭は斷じて此の
結婚を
峻拒する。