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かはちや
へえー……
河内屋さん……エーまア
道理こそ、
此砂張の
建水がお
目に
留まるといふのは、
余程お
嗜好者とは
存じましたが……
貴方は
河内屋さんでございましたか……
思ひ
掛けないことで……。
主人が起きて
誰だと問へば、
備前島町河内屋八五郎の
使だと云ふ。河内屋は
兼て
取引をしてゐる家なので、どんな用事があつて、
夜に
入つて人をよこしたかと
訝りながら、庭へ降りて
潜戸を開けた。
その日は
河内家の
総見があつたので、肝腎の
阿つ
母は皆と一緒に場に坐つて、
惚々と
吾児の芸に見とれて、夢中になつてゐた。