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かつてしだい
「
忘れもしない、
温泉へ
行きがけには、
夫婦が
腕車で
通つた
並木を、
魔物が
何うです、……
勝手次第な
其の
躰でせう。」
付て
油斷がならず
何卒御迷惑ながら御同道下さらば丁度旦那樣の御供の樣にて
惡漢が
付氣遣ひなく心丈夫に存じますと
云に後藤は
見向もせず夫は貴樣の
勝手次第にといひ
放し一向構はず
行中にはや戸塚の
棒鼻へ入りたるに或料理屋の
勝手に
鰹佳蘇魚鮃の數々の魚見えければ後藤は一杯やらんと
此家に入て
酒肴を