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おつれあひ
しばたゝき
夫に
就ては
長々逗留の
間種々と
別段の御
厄介になり何とも御氣の毒千萬と云ば亭主は
能咄しの
機と思ひ何時まで御
逗留ありしとて手前は夫が
商賣なれば少しも
世話とは思ひませぬが
御良人は御大病なり其樣なことには
決して御心遣ひなく何時
迄も
緩々と御
逗留成れまし然ながら斯樣申せば何とも
失禮千萬なれども
永々の御
逗留と云
殊には
御良人の御病氣にて
御物入も
莫大ならん
縱令餘計の
御貯はへ有とも斯して在れなば
追々殘り少なになり
旅先は別て
心細くも思ふものなり金銀は
「亡くなつた
御配偶は、當主の勝藏さんと仲が惡かつたのか」