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あるやしき
上げ此程申上ました通り十兵衞の後家お安へは妹娘は
或屋敷へ奉公に
上たと
僞り私しと長庵
兩人で丁字屋へ三十兩に
賣代なし其内私しは長庵より
僅かに五兩
貰ひ候處お安も其後妹娘の
行先が
變だと思ふたやら兩人の娘に
逢して
呉れ/\と長庵に
晝夜を
毒を
何うとかと
言觸らしたがためである。
其の
時の
事で。……
近所の
或邸へ……
此の
界隈を
大分離れた
遠方から
水を
貰ひに
來たものがある。
來たものの
顏を
知らない。