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ふりがな文庫
“
書
(
ほん
)” の例文
「
戦
(
いくさ
)
だけは一命仕事、いのちを
抛
(
ほう
)
りだして、してみること以外には、ひとのはなしや、ものの
書
(
ほん
)
からも楽に学ぶことはできません」
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
今日は折柄の日曜日、読了へたのを返して何か別の
書
(
ほん
)
を借りようと思つて、まだ暑くならぬ午前の八時頃に小川家を訪ねたのだ。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
余りの不思議さに自分は様子を見てやる気になって、
兎
(
と
)
ある
小蔭
(
こかげ
)
に枯草を敷て
這
(
は
)
いつくばい、
書
(
ほん
)
を見ながら、折々頭を挙げて
彼
(
か
)
の男を
覗
(
うかが
)
って
居
(
い
)
た。
運命論者
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
地獄
(
ぢごく
)
の
夜叉
(
やしゃ
)
の
肉體
(
からだ
)
には
何者
(
なにもの
)
を
住
(
す
)
ませうとや? あんな
内容
(
なかみ
)
にあのやうな
表紙
(
へうし
)
を
附
(
つ
)
けた
書
(
ほん
)
があらうか? あんな
華麗
(
りっぱ
)
な
宮殿
(
きゅうでん
)
に
虚僞
(
うそ
)
譎詐
(
いつはり
)
が
棲
(
すま
)
はうとは!
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
清三は一円五十銭で、一人寝の綿
蚊帳
(
がや
)
を買って来て、机をその中に入れて、ランプを台の上にのせて外に出して、その中で毎夜遅くまで
書
(
ほん
)
を読んだ。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
▼ もっと見る
博士はどんな
書
(
ほん
)
でも読む事を知つてゐる。読む事を知つてゐる人は手許に読物を置いてゐないのが一番気楽なものだ。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
こう妙に胸に響くような
心地
(
こころもち
)
がしましてね——それはこの
書
(
ほん
)
にも
符号
(
しるし
)
をつけて置きましたが——それから
知己
(
しるべ
)
の
宅
(
うち
)
に越しましても、時々読んでいました。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
何という汚れた
書
(
ほん
)
だろう。そう考えた彼は「一代女」を引割いて捨てた話をして、
酷
(
ひど
)
く足立には笑われた。それらのことが一緒に成って胸の中を往来した。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
紙片
(
しへん
)
と鉛筆を出して姓名を請うたら、斗満大谷派説教場創立係
世並
(
よなみ
)
信常
(
しんじょう
)
、と書いてくれた。朝露の
間
(
ま
)
は子供に
書
(
ほん
)
を教え、それから日々夫婦で労働して居るそうだ。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
それから自分が
書
(
ほん
)
を読んだり、他の
童子
(
こども
)
が
書
(
ほん
)
を読んだり、唱歌をしたり、嬉しがって笑ったり、怒って
怒鳴
(
どな
)
ったり、キャアキャアガンガンブンブングズグズシクシク
観画談
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
知らずに、どうして親類が見舞われるのだよ。お前さんは
書
(
ほん
)
ばかり読んでいる人だね。私の家へお出でよ、御飯でもあげよう。汚い寝台もあるから、明日の朝帰って、苗字を
嬰寧
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
誰れも知らぬことに顔赭らめ、イヤこれだとその下にあった樺色の表紙を、あわてゝ何の
書
(
ほん
)
とも知らず指さすと、本屋は難有うと云って、二銭の
剰銭
(
つり
)
とその
書
(
ほん
)
とを取って渡した。
油地獄
(新字新仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
物の
書
(
ほん
)
で見た鬼界ヶ島の
俊寛
(
しゅんかん
)
! それさながらの人間が、そこに群れているのである。
剣侠
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
或
(
あるい
)
は後年に
至
(
いたっ
)
て大老
井伊掃部頭
(
いいかもんのかみ
)
は開国論を唱えた人であるとか開国主義であったとか云うような事を、世間で
吹聴
(
ふいちょう
)
する人もあれば
書
(
ほん
)
に
著
(
あら
)
わした者もあるが、開国主義なんて
大嘘
(
だいうそ
)
の
皮
(
かわ
)
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
そして家へ歸ると直に、澤山の原書を取ツ散かした書齋に
引籠
(
ひきこも
)
ツて、
書
(
ほん
)
を讀むとか、思索に耽るとか、
設
(
よし
)
五分の時間でも
空
(
むだ
)
に費やすといふことが無い。
他
(
ひと
)
から見れば、淋しい、單調な生活である。
解剖室
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
書
(
ほん
)
を読んだりしましたので。一通りは私も姉からおそわりました。
藪の鶯
(新字新仮名)
/
三宅花圃
(著)
こだはれるさびしさありて
書
(
ほん
)
読むにしきりにも啼く篭の鳥かも
遺愛集:02 遺愛集
(新字新仮名)
/
島秋人
(著)
「いや、こんどは、百姓はせぬ。毎日、坐禅でもするかな。——伊織、おまえは
書
(
ほん
)
を読め、そしてみっしり太刀の稽古をつけてやろう」
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
黄
(
きいろ
)
い本の表紙には、“
True
(
ツルー
)
Love
(
ラヴ
)
”と書かれた。文科の学生などの間に
流行
(
はやつ
)
てゐる密輸入のアメリカ版の怪しい
書
(
ほん
)
だ。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
下人 はて、その
樣
(
やう
)
な
事
(
こと
)
は
書
(
ほん
)
が
無
(
な
)
くても
知
(
し
)
れましょ。いや、
眼
(
まなこ
)
で
讀
(
よ
)
むものをば
讀
(
よ
)
まッしゃりますかと
聞
(
き
)
きますのぢゃ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
前に話した松の根で老人が
書
(
ほん
)
を見ている
間
(
ひま
)
に、僕と愛子は丘の
頂
(
いただき
)
の岩に腰をかけて夕日を見送った事も幾度だろう。
初恋
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
その先達に
初歩
(
ふみはじめ
)
を
教
(
おそ
)
わってこの道に入りましてから、今年でもう十六年になりますが、
杖
(
つえ
)
とも思うは実にこの
書
(
ほん
)
で、一日もそばを放さないのでございますよ。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
それに、一人で
書
(
ほん
)
ばかり読んでいるのは、若い者には
好
(
よ
)
し
悪
(
あ
)
しですよ、神経衰弱になったり、
華厳
(
けごん
)
に飛び込んだりするのはそのためだと言うじゃありませんか。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
死んだ
棄児
(
すてご
)
の稲次郎が古巣に、大工の妾と入れ代りに東京から
書
(
ほん
)
を読む夫婦の者が越して来た。地面は久さんの義兄のであったが、久さんの家で小作をやって居た。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
色男の秘訣と題した
書
(
ほん
)
がふと目に留り、表紙に細々と載てある目録を、見るように見ぬように、むしろ見ぬように見ぬように、横目で読むにその初めが
娼妓買
(
じょろうかい
)
の秘訣芸妓買の秘訣
油地獄
(新字新仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
ひどい歴史好きで、自分でも
書
(
ほん
)
を
拵
(
こしら
)
へたが、菅原道真の伝記を書く段になつて、この人に廿四人子供が居て、そのなかで名前が知れてゐるのは五人しか無いのを
甚
(
ひど
)
く気苦労に病んだ。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
その頃の小父さんは
厳
(
いかめ
)
しい立派な髯を
生
(
はや
)
した人で、何度も何度も受けてはうまく行かなかった代言人の試験にもう一度応じて見ると言って、捨吉の机の前へ法律の
書
(
ほん
)
なぞを持って来たものだ。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
自分の生れた時に初めて拳げたオギャア/\の声も他人の
㘞地
(
ぎやつと
)
云つた一声も、それから自分が
書
(
ほん
)
を読んだり、他の
童子
(
こども
)
が書を読んだり、唱歌をしたり、嬉しがつて笑つたり、怒つて怒鳴つたり
観画談
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
枯草の上に腰かけながら一人の
今道心
(
いまどうしん
)
が
書
(
ほん
)
を読んでいる。
国事犯の行方:―破獄の志士赤井景韶―
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
崖の肌やら、
草叢
(
くさむら
)
やら、あちこちに、ベトベトになって散らばっている
書
(
ほん
)
の残骸をながめて、伊織は、何より未練そうに
呟
(
つぶや
)
いた。
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
其麽
(
そんな
)
事から、この町に唯一軒の小川家の親籍といふ、立花といふ
家
(
うち
)
に半自炊の様にして泊つてゐるのだ。
服装
(
みなり
)
を飾るでもなく
書
(
ほん
)
を読むでもない。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
いつでしたか
箪笥
(
たんす
)
を明けますとね、亡くなりました悴の
袷
(
あわせ
)
の下から
書
(
ほん
)
が出てまいりましてね、ふと見ますと先年外国公使の夫人がくれましたその聖書でございますよ。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
僕の足音を聞いて娘はふとこの方へ向いたが、僕を見てにっこり笑った。続いて先生も僕を見たがいつもの通りこわい顔をして見せて持っていた
書
(
ほん
)
を
懐
(
ふところ
)
へ入れてしまった。
初恋
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
書
(
ほん
)
が
沢山
(
たくさん
)
ある
家
(
うち
)
、学を読む家、植木が好きな家、もとは近在の人達が斯く儂の家の事を云うた。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
大助は残りの十九人の名前を調べ出さなければ、天神様に済まぬとでも思つたものか、色々な
書
(
ほん
)
を
渉猟
(
あさ
)
つてみた。だが、多くの大事な事を捜す場合と同じやうに
書
(
ほん
)
には何一つ書いてなかつた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
されば学資はありあまる、
書
(
ほん
)
は自由に買い込む、それで読む読まぬにかかわらず机の前を離れたことがないので、目賀田は遂に字引になるのだとの評が、同窓の学友の口から往々
漏
(
も
)
れることがあった。
油地獄
(新字新仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
書
(
ほん
)
を売るか、
蚊帳
(
かや
)
でも質に入れたくらいな小遣いで、泳ぎに来た連中である。庄次郎が、無一文だと聞くと、おぞ気をふるッて、逃げだした。
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
書
(
ほん
)
を讀んでも何が書いてあるやら解らず。これや
不可
(
いかん
)
と思つて、聲を立てて讀むと何時しか御經の眞似をしたくなつたり、薩摩琵琶の聲色になつたりする。
散文詩
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
自分が一度犬をつれ、近処の林を
訪
(
おとな
)
い、切株に腰をかけて
書
(
ほん
)
を読んでいると、突然林の奥で物の落ちたような音がした。足もとに
臥
(
ね
)
ていた犬が耳を立ててきっとそのほうを見つめた。
武蔵野
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
狂人
(
きちがひ
)
の
書
(
ほん
)
12・22(夕)
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
めいめいが一冊ずつの
書
(
ほん
)
をかかえて、
禰宜
(
ねぎ
)
の荒木田様の学問所へ、国語や和歌のお稽古にゆくことが日課であった。
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
奈何
(
どう
)
したといふのだらう?」と自分の心が疑はれる。莫迦な! と叱つても矢張り氣が氣でない。強ひて
書
(
ほん
)
を讀んで見ても、何が書いてあつたか全然心に留らない。
鳥影
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
空気
洋燈
(
らんぷ
)
が
煌々
(
くわう/\
)
と
燿
(
かゞや
)
いて書棚の
角々
(
かど/\
)
や、金文字入りの
書
(
ほん
)
や、置時計や、水彩画の
金縁
(
きんぶち
)
や、
籐
(
とう
)
のソハに
敷
(
しい
)
てある
白狐
(
びやくこ
)
の
銀毛
(
ぎんまう
)
などに反射して部屋は
綺麗
(
きれい
)
で陽気である、銀之助はこれが
好
(
すき
)
である。
節操
(新字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
だが、被害は、
書
(
ほん
)
どころではない。彼と武蔵の住む家さえ、跡形もなく
潰
(
ひし
)
がれて、手のつけようもない有様。
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
靜子は、氣がさした樣に、俄かにそれを閉ぢて以前の
書
(
ほん
)
の間に重ねた。そして、逃げる樣に室を出た。心はそこはかとなく動いて、若々しい皷動が頻りに胸を打つた。
鳥影
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
或日
(
あるひ
)
自分は
何時
(
いつも
)
のように
滑川
(
なめりがわ
)
の
辺
(
ほとり
)
まで散歩して、さて砂山に登ると、
思
(
おもい
)
の外、北風が身に
沁
(
しむ
)
ので
直
(
す
)
ぐ
麓
(
ふもと
)
に
下
(
おり
)
て
其処
(
そこ
)
ら日あたりの
可
(
よ
)
い所、
身体
(
からだ
)
を
伸
(
のば
)
して楽に
書
(
ほん
)
の読めそうな所と
四辺
(
あたり
)
を
見廻
(
みま
)
わしたが
運命論者
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
さう
書
(
ほん
)
ばかり入れられては蒲團の入れ場所がなくなつてしまふと女共の抗議がくる始末なので、屏風もここへ引つ越して來た際に、その押入の奧へ横に突つこみ
折々の記
(旧字旧仮名)
/
吉川英治
(著)
初めての土地で、友人と云つては一人も無し、
恁
(
か
)
う寒くては
書
(
ほん
)
を讀む氣も出ぬもので、私は毎晩、唯モウ手の甲をひつくり返しおつくり返し火に
焙
(
あぶ
)
つて、火鉢に抱付く樣にして過した。
菊池君
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
ごろりと
轉
(
ころ
)
げて
大
(
だい
)
の
字
(
じ
)
なり、
坐團布
(
ざぶとん
)
を
引寄
(
ひきよ
)
せて
二
(
ふた
)
つに
折
(
をつ
)
て
枕
(
まくら
)
にして
又
(
また
)
も
手當次第
(
てあたりしだい
)
の
書
(
ほん
)
を
讀
(
よ
)
み
初
(
はじ
)
める。
陶淵明
(
たうえんめい
)
の
所謂
(
いはゆ
)
る「不
レ
求
二
甚解
一
」
位
(
くらゐ
)
は
未
(
ま
)
だ
可
(
よ
)
いが
時
(
とき
)
に一ページ
讀
(
よ
)
むに一
時間
(
じかん
)
もかゝる
事
(
こと
)
がある。
都の友へ、B生より
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
寝転んで、
書
(
ほん
)
を読んでいる間もふと、ニタリと、悪魔的な
微笑
(
ほほえ
)
みが
自
(
ひとり
)
でに
唇
(
くち
)
の辺へのぼってくる——
夏虫行燈
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
書
常用漢字
小2
部首:⽈
10画
“書”を含む語句
文書
添書
書籍
表書
艶書
遺書
上書
書状
筋書
書物
口書
能書
書記
読書
書面
草書
御書
手書
願書
書机
...