)” の例文
かれとらへられていへ引返ひきかへされたが、女主人をんなあるじ醫師いしやびにられ、ドクトル、アンドレイ、エヒミチはかれ診察しんさつしたのであつた。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
何、何故ばなかったって。それは帰りにここへ来るつもりだったから招ばなかったのさ。ね、小言はようきいてからにするがいい。
地上:地に潜むもの (新字新仮名) / 島田清次郎(著)
又、誕生日に百人以上の客をぶのは贅沢ぜいたくだという人もある。私は、そんなに沢山の客を招んだ覚えはない。向うで勝手に来るのだ。
光と風と夢 (新字新仮名) / 中島敦(著)
朝顔日記もどきの風流な客人が、お君をんで歌をうたわせる、お君は以前備前屋でしたように、席へは上らないで、庭でうたいます。
大菩薩峠:07 東海道の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
露八は、中へ入って、三味線じゃみせんを後ろへおいた。とにかくと——相手は誰か分からないが、ばれたままに来てみたのであるが。
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
『あのひとにはあのひととしての仕事しごとがあり、めいめいることがちがいます。良人おっとぶのは海辺うみべ修行場しゅぎょうばうつってからのことじゃ……。』
明治二十年の頃だったと思うが、尾崎行雄君が大同同団の幹事をやって、在京の政治家連中を芝の三縁亭にんだことがあった。
渡良瀬川 (新字新仮名) / 大鹿卓(著)
ツイ十日前、私の誕生日で道樂仲間をんだ時出して、風を入れるつもりでそのまゝにしてあつたが、今から七日前の丁度お月見の晩だ。
「お園さんと一緒にようあんたはんにばれて往かはりましたがな、若奴わかやっこさんどすがな」といったので、私はやっと思い起した。
霜凍る宵 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
彼が、目白の学習院へばれ、フロックコオトを着て述べたところの講演は、若い公達等に、人間性の自覚の必要を力説したものであった。
今日は何家なにやの裏二階で、昨日きのうはどこの離れでとぶ客の名が知れると、妙なことにチンコッきりおじさんが納まらなくなった。
馬道へ出ると一流の料理屋富士屋があり、もっと先へ出ると田町たまちとなって、此所は朝帰りの客を蛤鍋はまなべの店が並んでいる。
「なんでもないのよおじいさん。ただ、コゼツの旦那が、今年は僕をばなかっただけ。あの人、ちょっと僕に思いちがいをしてるらしいの。」
ベルリンは自分を相手にしてくれないものと断念あきらめて溜息をきながらベルを鳴らし、ボーイをんで今度はロンドンの方へ向きを変えました。
耳香水 (新字新仮名) / 大倉燁子(著)
春秋はるあき彼岸ひがんにはお寺よりも此人の家の方が、餅を澤山貰ふといふ事で、其代り又、何處の婚禮にも葬式にも、此人のばれて行かぬ事はなかつた。
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
みな、あんなにのぼせあがったくせに、いちどお茶にぶことに成功すると、それからはチャーミングさんのことであまり大騒ぎをしなくなった。
世間見ずでいらっしゃいますから人の目褄めつまに掛ってはなりませんと私がおび申したのが初めで、何卒どうぞ/\御勘弁なすって
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
こんど、お駒さんをここへおびして、きょうのうめ合わせに、三人で御馳走ごちそうをいただきましょうよ。このごろ、いい料理番いたばが来ているのですよ。
巷説享保図絵 (新字新仮名) / 林不忘(著)
それは或る時座敷にばれて、その席上で荒事を所望されたので、立上って座敷の柱をゆさゆさと揺ぶり、「これが荒事でございます」といったら
梵雲庵漫録 (新字新仮名) / 淡島寒月(著)
しかし、夫人ふじんしづめて、ちかくにゐる同志どうし婦人達ふじんたちあつめた。近所きんじよから醫師いして、かく應急手當おふきふてあてほどこされた。
彼女こゝに眠る (旧字旧仮名) / 若杉鳥子(著)
旅で祭にった直樹は、方々の親類からばれて、出て行った。正太を始め、薬方の若衆も皆な遊びに出た。町の方がにぎやかなだけ、家の内は寂しい。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
リード夫人は一度だつて私をゲィツヘッドへんでくれたことはなかつた、彼女もその家族も誰一人として、私に會ひにくるやうなことはなかつた。
さてさうなると、まづ第一に爺の意志を確めねばならぬから、んでその趣を腹藏なく打あけて相談に及びました。
白瓜と青瓜 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
それを投機の道具とする請負人をび入れ、その請負人は基礎工事をするためにアイルランド人その他の職人を実地に使用する、というやり方である。
「おぬし、一走り行って、使丁に湯を申しつけなさい、そなたはい、そなたは——」と彼は甚助をとめた、「すなわち、われらはばれた客じゃで、の」
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
現に、今日の園遊会も、一人あて百金に近い巨費を投じて、新邸披露として、都下の名士達をんだのである。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
長政は政宗をぶ、政宗は出ぬわけには行かぬ、片倉小十郎其外三四人を引連れて、おとなしく出て来て言訳をした。何事も須田伯耆の讒構ざんこうということにした。
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
それは幼い雛妓おしやくんで遊ぶ事で、枯れかけた松の周囲ぐるりに、小松を植ゑると、枯松までが急に若返へるやうに、訥子はかうしてをんなの若さを自分のものにしてゐる。
そして陶は自分の姿を露わしてからは、ますます酒をほしいままに飲むようになって、いつも自分から手紙を出して曾をんだ。で、二人は親しい友達となった。
黄英 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
更に意外なのは拙者の訪問をひどく喜こんで実はびにやろうかと思っていたところだとのことである。
富岡先生 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
カアマイクル夫人はばれるとすぐ、街を横切って印度紳士の家に来、セエラをその暖かい腕にいだきとって、これまでのいきさつを細かに話してくれたのでした。
それでも彼らのうちの四人のものが、順吉の無事出所を知つて、ある一夜、彼をんでくれた。親戚の一人がそこの幹部である新聞社の記者をしてゐる山下がゐた。
第一義の道 (旧字旧仮名) / 島木健作(著)
道平はそのまゝ夕食をばれて、ゆつくり腰を落ちつけてゐたが、夜ふけ近い頃になつて、ひよつこり
医師高間房一氏 (新字旧仮名) / 田畑修一郎(著)
村には医者がいなかったので、小諸こもろの町からでもぼうかと云うのを固辞して、明はただ自分に残された力だけで病苦と闘っていた。苦しそうな熱にもよく耐えた。
菜穂子 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
お歌さんが淋しがって大勢お友達をんだんだ。乃公は言い聞かされていたから始終音なしくしていたが、一寸足を出したらお島がつまずいて、盆と茶碗をほうり出した。
いたずら小僧日記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「では一度おびしたらどう。」と彼女が答へた。道助はすぐに同意した。彼女はその折りに食卓に並べる珈琲コーヒー茶碗や小皿のことなどに就て細々こま/\と彼に相談し初めた。
静物 (新字旧仮名) / 十一谷義三郎(著)
何時いつかはその時のあることを知っていたが、きょうんだ二人にそのいのちを競わしあやめさせ合うことの、偶然とはいえ、その非業ひごうの時を早めたことが悲しかった。
姫たちばな (新字新仮名) / 室生犀星(著)
お正月はこの貧しく有望な絵描きたちをんで、実に壮大な宴を張った。国には二百円も送ってやり「あッ!」と云う両親の声が東京まできこえて来たような気がした。
落合町山川記 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
そしてイワンは秋のとり入れをすまし、ビールをつくると、お祭りをするから一しょに祝ってくれといって、兄たちをびました。兄たちはどうしても来ませんでした。
イワンの馬鹿 (新字新仮名) / レオ・トルストイ(著)
「じゃア僕をんだのは、グレーの奴を殺させるため、……ただ、それだけのためだったんだね」
鴉片を喫む美少年 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
着飾きかざった芸者たちがみがき上げた顔をびりびりするような夜寒よさむに惜しげもなく伝法でんぽうにさらして、さすがに寒気かんきに足を早めながら、ばれた所に繰り出して行くその様子が
或る女:2(後編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
私の名もこれほど宣伝されてるし、清盛様だって噂ぐらい聞いてる筈なのに、一度もぼうとしないんだから、待ってたってしようがないわ、どうせ、私たちは芸人で、芸を
次郎はまだこの家で飯をばれたことがなかった。子供にとって他人の家の食卓というものは、大きな魅力をもっているものだが、とりわけ次郎にとっては、そうであった。
次郎物語:01 第一部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
又……それ位の女でないと天草ではかかあび手が無い事になっているんだから仕方がない
人間腸詰 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
いよ/\といふた。荷物にもつといふ荷物にもつは、すつかりおくられた。まづをとこ一足ひとあしきに出發しゆつぱつして先方せんぱう都合つがふとゝのへ、それから電報でんぱうつて彼女かのぢよ子供こどもぶといふ手筈てはずであつた。
(旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
じたい、二十歳台の若者と酒汲みかわすなんて厭なものだと思っていたのだ。君は二十九歳十カ月くらいのところだね。芸者ひとりべない。碁ひとつ打てん。つけられたやりだ。
虚構の春 (新字新仮名) / 太宰治(著)
ところでイタリーからばれて「お蝶夫人」をうたいに行く時、皆さんから、イタリーは水が悪いから、イタリーへ行ったら決して生水を飲んではいけない、と注意されました。
お蝶夫人 (新字新仮名) / 三浦環(著)
で、其後お雪伯母は、かの行者をんで来て、悪魔払ひの御祈祷のやうなことをさせたり、自分で梅林へ出掛けて行つたりした。伯父は併し黙つて、見て見ない振りをして居た。
世の中へ (新字旧仮名) / 加能作次郎(著)
さっき修道院長の食事ときばれて、坊さんたちにモークロエ村の娘っ子のことを話して聞かせなかったのは残念だったよ、アリョーシカ、わしはさっきおまえんとこの修道院長に
「お雛様なんて紙ので沢山だ。——それぢや阿父さんと僕もお客にばれようか。」
父を売る子 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)