“ねん”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ネン
語句割合
年62.6%
念29.6%
然3.0%
拈2.0%
年季0.7%
寝0.5%
寢0.2%
懇0.2%
撚0.2%
新年0.2%
燃0.2%
粘0.2%
苦0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
三十七年(ねん)九月(ぐわつ)十四日(か)、幻翁(げんおう)望生(ぼうせい)の二人(ふたり)と共(とも)に余(よ)は馬籠(まごめ)に行(ゆ)き、茶店(ちやみせ)に荷物(にもつ)や着物(きもの)を預(あづ)けて置(お)き、息子(むすこ)を人夫(にんぷ)に頼(たの)んで、遺跡(ゐせき)に向(むか)つた。
私(わし)はその前刻(さつき)から何(なん)となく此(この)婦人(をんな)に畏敬(ゐけい)の念(ねん)が生(しやう)じて善(ぜん)か悪(あく)か、何(ど)の道(みち)命令(めいれい)されるやうに心得(こゝろえ)たから、いはるゝままに草履(ざうり)を穿(は)いた。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
一陽は幸(さち)なき人の上にも来(きた)り復(かえ)ると聞く。願くは願くはと小野さんは日頃に念じていた。——知らぬ甲野さんはぽつ然(ねん)として机に向っている。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
みずから壇の燈明(とうみょう)をとぼし、香(こう)を拈(ねん)じ、経文一巻をよみあげる。そのあとも、氷のような床(ゆか)の冷えもわすれきって禅那(ぜんな)の黙想をつづけるのだった。
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
年季(ねん)が明(あけ)るといつて何處(どこ)へ歸(かへ)る料簡(れうけん)、此處(ここ)はお前(まへ)さんの家(うち)ではないか、此(この)ほかに行(ゆ)くところも無(な)からうではないか、分(わか)らぬ事(こと)を言(い)ふものではありませぬと叱(しか)られて
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「やあ、寝てやがら、姉様(あねさん)、己(おら)が嫁さんは寝(ねん)ねかな。」
海異記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「坊(ばう)やはいゝ兒(こ)だ寢(ねん)ねしな。」……と口(くち)の裡(うち)で子守唄(こもりうた)は、我(われ)ながら殊勝(しゆしよう)である。
大阪まで (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
そうして機嫌(きげん)の好い顔つきをして、学士の数(かず)のこんなに殖(ふ)えて来た今日(こんにち)、いくら世話をする人があろうとも、そう最初から好い地位が得られる訳のものでないという事情を懇(ねん)ごろに説いて聞かせた。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「もっともだ」と評したのは迷亭で、「妙に凝(こ)ったものだね」と解(げ)しかねたのが主人で、「やはり君、天才だよ」と敬服したのは東風君である。ただ独仙君ばかりは超然として髯(ひげ)を撚(ねん)している。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
新年(ねん)の頭(あたま)を拵(こし)らえやうといふ氣(き)になつて、宗助(そうすけ)は久(ひさ)し振(ぶり)に髮結床(かみゆひどこ)の敷居(しきゐ)を跨(また)いだ。暮(くれ)の所爲(せゐ)か客(きやく)が大分(だいぶ)立(た)て込(こ)んでゐるので、鋏(はさみ)の音(おと)が二三ヶ所(しよ)で、同時(どうじ)にちよき/\鳴(な)つた。
門 (旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
蓋(けだ)し聞く、大禹鼎(だいうかなえ)を鋳(い)て、神姦鬼秘(しんかんきひ)、其(その)形を逃るるを得るなく、温嶠犀(おんきょうさい)を燃(ねん)して、水府竜宮(すいふりゅうぐう)、倶(とも)に其(その)状を現すを得たりと。惟(こ)れ幽明の異趣、乃(すなわ)ち詭怪(きかい)の多端(たたん)、之(これ)に遇(あ)えば人に利あらず。
牡丹灯籠 牡丹灯記 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
柳さくらをこきまぜて、都は花のやよい空、錦繍(きんしゅう)を布(し)き、らんまん馥郁(ふくいく)として莽蒼(ぼうそう)四野も香国(こうこく)芳塘(ほうとう)ならずというところなし。燕子(えんし)風にひるがえり蜂蝶(ほうちょう)花に粘(ねん)す。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
この我が訓(おしえ)を能(よ)く記(おぼ)えて決して背(そむ)くことなかれと苦(ねん)ごろに誡(いまし)め諭して現世(このよ)を逝(さ)りければ、兄弟共に父の遺訓に随(したが)ひて互ひに助けあひつつ安楽に日を消(くら)しけり。
印度の古話 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)