黄海こうかい)” の例文
殊に縁日えんにちの「からくり」の見せる黄海こうかいの海戦の光景などは黄海と云うのにもかかわらず、毒々しいほど青いなみに白い浪がしらを躍らせていた。
少年 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
黄海こうかい一帯の沿岸からあの辺の海岸や島々をかけて荒らし廻る、大仕掛けな支那人しなじんの海賊団があった。
白髪鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
ついこのあいだもある学者がアメリカの学会へ行って「黄海こうかいの水を日本海へ注入して電力を起こす」
錯覚数題 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
かしらめぐらせば、楣間びかん黄海こうかい大海戦の一間程なる水彩画を掲げて座敷のすみには二鉢ふたばちの菊を据ゑたり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
支那事変の初頭に作戦的に決潰けっかいして黄海こうかいにそそいでいた河口が揚子江ようすこうへそそいでいる。これを日本軍が大工事を起しているのだが、これが映画の主題で、この方は私に関係はない。
魔の退屈 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)