黄泉よみじ)” の例文
黄泉よみじの風は、それらの悲壮な群集を吹き送り吹き返し、吹きふくらし吹き散らす。およそ混戦とは何物であるか。一つの擺動はいどうである。
この青年こそ黄泉よみじから派遣された彼の救主すくいぬしではないかと思われた。張りつめていた心が、隅からほぐれて行って、すがりつき度い様な、甘い涙がこみ上げて来た。
猟奇の果 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
よいか! 聞こえたか、銀五郎! 法月弦之丞の今日の誓い、これを黄泉よみじ餞別はなむけとして受けてくれい……
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「お、お、親分か——よ、黄泉よみじの障りだ、き、聞いてくれ——。」
黄泉よみじの台どころを嗅ぎ当てていたのかと不思議に思った。
耽溺 (新字新仮名) / 岩野泡鳴(著)
弓弦ゆんずる荘殺人事件」は古代よろい籠手こての神秘飛行が、「黄泉よみじ帰り」には死者再現の神秘が取扱われている。
探偵小説の「謎」 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
「死神につかれた軍が、またも黄泉よみじへ急いで来つるぞ。冥途めいどを開けてやれ」
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
底知れぬ暗闇と共に、黄泉よみじの静寂が、全世界を領していました。
パノラマ島綺譚 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)