麦酒びーる)” の例文
旧字:麥酒
今の医者が胃拡張の病人に不消化物を禁じないで湯茶ゆちゃだの牛乳だのスープだの酒だの麦酒びーるだのと水分の多い飲料を禁じるのはそのためだ。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
『休暇で帰るのに見送みおくりなんかて貰はなくツてもいと言つたのに、態々わざわざ俥でやつて来てね。麦酒びーるや水菓子なんか車窓まどン中へ抛り込んでくれた。皆様みなさんに宜敷ツて言つてたよ。』
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
ついした愚痴から、お胸を痛め、御疲れの上の、御鬱陶を、麦酒びーるにでも致しましようかと。急にさゑさゑさらさらと、延ばす右手の袖軽く、喚鈴よびりん指頭ゆびさきの、かかりけるをりもよし。
移民学園 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
彼等はナイフやフォークの音の騒々しい中でも、軽快極まる警句の応酬や、辛辣しんらつな皮肉の連発を休めなかつた。而して私も一二盃の麦酒びーるに乗じて、いつの間にかその仲間入りをしてゐた。
良友悪友 (新字旧仮名) / 久米正雄(著)
パン種にも色々の製法があってよく麦酒びーるを混ぜる人もあります。白米とこうじで拵える法もあります。そんな事は先ず黒人くろうとの仕事で素人しろうとに不便ですから一番軽便な法を申上げましょう。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
西洋酢なんぞは殊にはなはだしいもので葡萄酒ぶどうしゅの腐ったのや麦酒びーるの腐ったものを大きな樽へ溜めておいてそれを酢に製して西洋酢の壜へ詰め換えてあります。丸で西洋酢の美味おいしい味はありません。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)