麝香猫じゃこうねこ)” の例文
それらの馬は西風によって牝馬めすうまから生まれたスペインの麝香猫じゃこうねこにちがいないと思うくらいに、風のようにはやく走りました。
その瞳は翁吉喇土オンギラアトの湖のごとく、口唇くちびる土耳古トルコ石、吐く息は麝香猫じゃこうねこのそれにも似て——。
これこいそれは金銀の糸の翼、輝くにじ手鞠てまりにして投げたやうに、空を舞つて居た孔雀くじゃくも、う庭へ帰つて居るの……燻占たきしめはせぬけれど、棚に飼つた麝香猫じゃこうねこの強いかおりぷんとする……
印度更紗 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
青銅製の大香炉、香を充たした香木の箱、南蛮人の丸木船模型、羅針盤と航海図、この頃珍らしい銀の時計、忍び用の龕燈提灯がんどうぢょうちん、忍術用の黒小袖、真鍮製しんちゅうせいの大砲模型、籠に入れられた麝香猫じゃこうねこ
名人地獄 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)