鶴首かくしゅ)” の例文
「ご縁談の儀は、いかがでしょうか。一家君臣をあげて、この良縁の吉左右きっそうを、鶴首かくしゅしておるものですから」
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一日も早くあすこから『この土手に登るべからず』という時代遅れの制札が取除かれ、自由に愉快に逍遙しょうよう漫歩まんぽを楽しみ得るの日の来らんことを鶴首かくしゅしている次第である。
早稲田神楽坂 (新字新仮名) / 加能作次郎(著)
サラバ、サラバ、鶴首かくしゅ。待て! あくびをした奴がある。しかも見よ。
虚構の春 (新字新仮名) / 太宰治(著)
それらの後顧こうこには、さらさら、ご懸念けねんなく、瀬戸内せとうち、山陽、山陰の軍路に大捷たいしょうをおさめられて、やがてれの都入りの日を、鶴首かくしゅ、お待ち申しあげております……とも、手紙の末尾には
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
などと早打して、その旗幟きし鶴首かくしゅしていたものだった。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
鶴首かくしゅして待て。その日は決して遠いさきのことではない
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)