鬢付びんつ)” の例文
「このばかけろ、このばかけろ。」といいながら、やっとのことで、鬢付びんつあぶらぽんをついに若者わかものあたまってしまいました。
てかてか頭の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そのお白粉はべっとり鬢付びんつけ油のように粘り着くたちのものだと見えて、余程ごしごしこすらなければ、洗っても洗っても落ちないのであった。
蓼喰う虫 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
き油や鬢付びんつけの匂いだ。元結もっといを始終あつかっていることは、その指をみても知れる。善昌は三十二三だというのに、あの肉や肌の具合が、どうも四十以上の女らしい。
半七捕物帳:21 蝶合戦 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「伊助どん、この家に、固煉かたねりの鬢付びんつ伽羅油きゃらあぶらがあるかえ。」
「ああ、それできた。ここに一ぽんあるんだが、これじゃたりないかえ。」と、若者わかものは、ってきた一ぽん鬢付びんつあぶらふところなかからしました。
てかてか頭の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
おれ、どうして、あんなに人間にんげんあたまちゅうものが、ぴかぴかひかるだかと、いろいろのひといたら、なかで、それは、鬢付びんつあぶらというものをるからだとおそわった。
てかてか頭の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)