食饌しょくせん)” の例文
ある者は方丈ほうじょう食饌しょくせんをつらね得、ある者は粗茶淡飯にも飽くことあたわざるの現象に至っては、全くこれを説明し得ざるものである。
貧乏物語 (新字新仮名) / 河上肇(著)
一行が遭難の日は、学校に例として、食饌しょくせんを備えるそうです。ちょうどそのに当ったのです。
雪霊続記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
少なくとも民間の節供せっく思想、すなわち神と人の食饌しょくせんを同じくする習慣とは反するのである。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
「歴史家の説によれば羅馬人ローマじんは日に二度三度も宴会を開き候由そろよし。日に二度も三度も方丈ほうじょう食饌しょくせんに就き候えば如何なる健胃の人にても消化機能に不調をかもすべく、従って自然は大兄の如く……」
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
もともと農を営まぬ人々の間に始まった正月の慣習なるが故に、その用途は次第に食饌しょくせんの方にかたより、もみ玄米げんまいとなりまた白米となり、粔米おこしごめとさえなったうえに、餅の大きな改良によって
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)