飛来ひらい)” の例文
旧字:飛來
それどころか、すでにこれに備えるために新しい大砲ができているらしく、特殊の構造の弾丸が飛来ひらいしてかえって英軍をおどろかした。
戦雲を駆る女怪 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
それからの数日というもの、恐ろしい毒矢が矢つぎばやに、これでもかこれでもかと、ふたりの身辺に飛来ひらいした。
月と手袋 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
発見しとる。火星の生物は、水棲魚人という幼稚な生物にしても、他の星には、もっと高等な生物がすんでいて、それが火星へ飛来ひらいしたのかもしれないね
三十年後の世界 (新字新仮名) / 海野十三(著)
それにピッタリ当てはまっているのだから、神尾喬之助、くるったと見せて、狂ったどころか、内実は虎視眈々こしたんたん、今にも、長じんいて飛来ひらいしそう……。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
補強工事の令が発され、兵は昼夜兼行けんこうで働いた。そんな或る日、飛来ひらいした米機をめずらしくも味方の高射砲が射落し、飛行士は夕暮の空に白い花を開かせたように落下傘らっかさんで降りて来た。
日の果て (新字新仮名) / 梅崎春生(著)
妙な生物が他の遊星から飛来ひらいすることなどは『崩れる鬼影』にちょっと似ているが、作者のねらったところはその題名に示す『地球盗難』なる不可思議なる四文字に籠っているのであって
『地球盗難』の作者の言葉 (新字新仮名) / 海野十三(著)
日々に訳す暗号電報から、味方の惨敗ざんぱいは明かであった。連日飛来ひらいする米機の様相から、上陸が間近であることも必至ひっしであった。不気味な殺気をはらんだ静穏せいおんのまま、季節は八月に入って行った。
桜島 (新字新仮名) / 梅崎春生(著)
海底大陸は、実数はまだわからぬが、天涯から飛来ひらいする宇宙線も、ついにとどかない区域なのである。だから海底超人は、字宙線のあじを知らないで四千年近くのながい年月を経たのである。
海底大陸 (新字新仮名) / 海野十三(著)