“静(しづけ)” の例文
旧字:靜
停車場に附属する処の二三の家屋の外(ほか)人間に縁ある者は何も無い。長く響いた気笛が森林に反響して脈々として遠く消え去(う)せた時、寂然(せきぜん)として言ふ可からざる静(しづけ)さに此孤島は還つた。
空知川の岸辺 (新字旧仮名) / 国木田独歩(著)
近(ちかづ)けば木蔭の噴水より水の滴る響(ひゞき)、静(しづけ)き夜に恰も人の啜(すゝ)り泣くが如くなるを聞き付け、其のほとりのベンチに腰掛け、水の面に燈影の動き砕くるさまを見入りて、独り湧出る空想に耽り候。
夜あるき (新字旧仮名) / 永井荷風(著)