青蓮せいれん)” の例文
依て証誠大権現しょうじょうだいごんげん飛竜大薩埵ひりゅうだいさった青蓮せいれん慈悲じひのまなじりを相並べ、さおしかの御身をふりたて、我らが無二の誠心を知見ちけんし、一つ一つの願事きき入れ給え。
御堂は薄墨の雲の中に、朱の柱をつらね、の扉を合せ、青蓮せいれんの釘かくしを装って、棟もろとも、雪の被衣かつぎに包まれた一座の宝塔のようにきよいつくしくそびえて見ゆる。
白花の朝顔 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その青蓮せいれんの、他にぬきんでて丈の高い茎のうへにきりりと咲いてゐる凄艶せいえんなすがたは、じぶんによつて二王子・二王女の母となつたあの褐媛かちひめが、四度目の産褥さんじょくからつひに起たず
鸚鵡:『白鳳』第二部 (新字旧仮名) / 神西清(著)
きみがまなこは青蓮せいれんに、きみが皓歯は茉莉花まつりくわに、かんばせ、はすの香に匂ふ。
双面神 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
ケダシ少陵ハ忠憤ナレドモすこぶる婆心ニ近シ。青蓮せいれんノ仙風実ハ虚誕きょたんわたル。韓蘇かんそ鉤棘こうきょくはく氏ハ浅俗ナリ。妙ハすなわち妙ナリトイヘドモヤヤ、清雅ナラズ。アヽ詩聖詩仙、詩家詩伯、敬スベクとおざクベシ。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
ほのかに青き青蓮せいれん白華しらはな咲けり。
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)