露探ろたん)” の例文
既に神聖なる軍国の議会に、露探ろたん問題を上したるの恥辱を有する同胞は、よろしく物質の魔力に溺れむとする内心の状態を省みる可く候。
渋民村より (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
あてらのこと、森はんが、露探ろたんやいうた、いうて、誰や、おたくの組の人が、来やはったけど、あて、そんなこと、なんとも思わんね。
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
多分露探ろたんぢや無からうかと云ふ社内の輿論よろんだがネ、——浦和君、僕の心事は君も知つて居るぢやありませんか、僕が何を好んで我が先輩たり恩人たる彼の不利をはかるもんですか
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
とにかく一種侮蔑の念を抑える訳に行かなかった。日露戦争の時分には何でもロシアの方に同情して日本の連捷れんしょうを呪うような口吻こうふんがあったとかであるいは露探ろたんじゃないかという噂も立った。
イタリア人 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
露探ろたんか? 露探だろう。おれにも、一人斬らせてくれ。」
将軍 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
露探ろたんじゃあんめえな」
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
露探ろたん!」
凡人伝 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「おれは、今、ひょっくり、気がついたんじゃよ。あの女たち、露探ろたんかも知れんぞ」
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
露探ろたんだな。」
将軍 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
自分を「露探ろたん」と呼んだという、つまらないことがきっかけで、半死半生の目にあった森新之助を、はじめは気の毒に思って、見舞に行ったり、同情したりしていたのだが、いつか
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
露探ろたんか?」
将軍 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)