霜降しもふ)” の例文
そして彼はこの界隈のどの子供よりも、身装みなりがよごれていて、もう秋も深いというのにまだ灰色のぼろぼろになった霜降しもふりをつけていた。
光の中に (新字新仮名) / 金史良(著)
また脇道にれたが、男の美味いとするまぐろの刺身さしみ上乗じょうじょうなものは、牛肉のヒレ、霜降しもふりに当たるようなもので、一尾の中、そうたくさんあるものではない。
鮪を食う話 (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)
そのなかに霜降しもふりの外套がいとうを着た広田先生の長い影が見えた。この青年の隊伍たいごに紛れ込んだ先生は、歩調においてすでに時代錯誤アナクロニズムである。左右前後に比較するとすこぶる緩漫に見える。
三四郎 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
汚れた小倉こくら霜降しもふりの洋服を着て、脚にも泥だらけのゲートルをまき、草鞋わらじいている。頭髪は長くはないが踏み荒らされた草原のように乱れよごれ、あごには虎髯とらひげがもじゃもじゃ生えている。
小さな出来事 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
霜降しもふりになっている処が内ロースだそうです。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)