雷獣らいじゅう)” の例文
あなたは驚ろかないにしても、雷獣らいじゅうとそうしてズク(森本は平生下宿の主人夫婦を、雷獣とそうしてズクと呼んでいた。ズクは耳ズクの略である)
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
これまた何たる皮肉ひにく! 空から中庭のまん中へ、ズシーンとばかり飛び降りてきた、雷獣らいじゅうのような一個の奇童きどうがある。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
じゅう屋根瓦やねがわらからとうの九りんのまっ先へ、雷獣らいじゅうのごとくスルスルとはいあがった和田呂宋兵衛わだるそんべえ
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あれを献上けんじょうするからあなたのへやへ持っていらっしゃい。もっとも雷獣らいじゅうとそうしてズクは両人共きわめて不風流ゆえ、床の間の上へえたなり放っておいて、もう枯らしてしまったかも知れません。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
すばやく隠形おんぎょういんをむすび、縮地飛走しゅくちひそうじゅをとなえるかと見れば、たちまち雷獣らいじゅうのごとく身をおどらせ、おどろく人々の眼界から、一気に二、三町も遠くとびさってしまった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
どうでも彼の都合のいように取り計らわせろとの御依頼でしたが、あなたの千里眼の通り、僕が何にも云わない先に、雷獣らいじゅうの方で勝手に取計ってしまったようですからさよう御承知を願います。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)