雷光いなずま)” の例文
そのうち槍組二百人が突進して来るし、駿馬しゅんめにまたがって祝彪が、これまた雷光いなずまのごとく出没して、ひとつ所になどとどまっていない。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
剣は業物わざもの、それがまた雷光いなずまのように打ちおろされたのだからたまりません。流石に兇悪なメヅサの首も、ぽろりと胴体からころがり落ちました!
伯母に連れられて帰京せし時、むかしむかしその母に別れし時、母の顔、父の顔、継母、妹を初めさまざまの顔は雷光いなずまのごとくその心の目の前を過ぎつ。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
そんな予感の雷光いなずまが、同時に十文字に閃めいて、見る見る私の脳髄をしびらしてしまった。しかも、それと反対に、室内なかの様子をうかがっている私の眼と耳とは一時に、氷を浴びたように冴えかえった。
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
木の間を縫い、芝地の崖をすべりしながら、いちどに敵の幕屋へ攻めかかってゆく人影の上へ、時折、青白い雷光いなずまがひらめいて、白い雨、暗い風、まったく晦冥かいめいな天地とはなった。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
殺気を感じて、お十夜の手も、雷光いなずまのように刀のつかへ飛ぶ。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一閃いっせん雷光いなずまの下に見つけた。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)