雪童子ゆきわらす)” の例文
赤い毛布ケットかつぎ、「カリメラ」の銅鍋どうなべや青いほのおを考えながら雪の高原を歩いていたこどもと、「雪婆ゆきばンゴ」や雪狼ゆきオイノ雪童子ゆきわらすとのものがたり。
雪童子ゆきわらすは笑ひながら、も一度ひどくつきあたりました。もうそのころは、ぼんやり暗くなつて、まだ三時にもならないに、日が暮れるやうに思はれたのです。
水仙月の四日 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
雪童子ゆきわらすは笑いながら、も一度ひどくつきあたりました。もうそのころは、ぼんやり暗くなって、まだ三時にもならないに、日がれるように思われたのです。
水仙月の四日 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
「しゆ、あんまり行つていけないつたら。」雪狼のうしろから白熊しろくまの毛皮の三角帽子をあみだにかぶり、顔を苹果りんごのやうにかがやかしながら、雪童子ゆきわらすがゆつくり歩いて来ました。
水仙月の四日 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
「しゅ、あんまり行っていけないったら。」雪狼のうしろから白熊しろくまの毛皮の三角帽子ぼうしをあみだにかぶり、顔を苹果りんごのようにかがやかしながら、雪童子ゆきわらすがゆっくり歩いて来ました。
水仙月の四日 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
雪童子ゆきわらすは革むちをわきの下にはさみ、堅く腕を組み、くちびるを結んで、その風の吹いて来る方をじつと見てゐました。おいのどもも、まつすぐに首をのばして、しきりにそつちを望みました。
水仙月の四日 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
雪童子ゆきわらすは、風のように象の形のおかにのぼりました。雪には風で介殻かいがらのようなかたがつき、そのいただきには、一本の大きなくりの木が、美しい黄金きんいろのやどりぎのまりをつけて立っていました。
水仙月の四日 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)