雨催あめもよい)” の例文
この句は雨催あめもよいの畠の中にある梅の花で、あるいはやや盛を過ぎているのかも知れない。花の色が汚れて見えるというのである。
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
その癖もの案じの眉がひそむ。……軒の柳にもやの有る、瓦斯がすほの暗き五月闇さつきやみ。浅黄の襟に頬白う、………また雨催あめもよいの五位鷺がくのに、内へも入らず、お孝はたたずむ。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
最早もう夕暮であった、秋の初旬はじめのことで、まだ浴衣ゆかたを着ていたが、海の方から吹いて来る風は、さすがに肌寒い、少し雨催あめもよいの日で、空には一面に灰色の雲がおおひろがって
白い蝶 (新字新仮名) / 岡田三郎助(著)
その夜は雨催あめもよいの空が、地面と同じ様な色に見えた。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)