雁木坂がんぎざか)” の例文
いち谷町たにまちから仲之町なかのちょうのぼる間道に古びた石段の坂がある。念仏坂ねんぶつざかという。麻布飯倉あざぶいいくらのほとりにも同じような石段の坂が立っている。雁木坂がんぎざかと呼ぶ。
江戸雁木坂がんぎざかにいるさき夕雲せきうん。当代の名人であり、弦之丞の師であった。上泉流かみいずみりゅうの剣法に虎白こはく和尚の禅機を取り入れ、称して無住心剣夕雲せきうん流といっている。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
とあるものは果してこの山を詠んだものか否か、穿鑿せんさくするにも及ばぬ事であるが、内務省地理局刊行の『新編武蔵風土記稿』所収秩父郡の正保図には雁木坂がんぎざか峠の名が見え
秩父の奥山 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
全山ぜんざん城地じょうちと見なし、十七ちょう外郭そとぐるわとし、龍眼りゅうがんの地に本丸ほんまるをきずき、虎口ここうに八門、懸崖けんがい雁木坂がんぎざか、五ぎょうはしら樹林じゅりんにてつつみ、城望じょうぼうのやぐらは黒渋くろしぶにてりかくし
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)