隠元豆いんげんまめ)” の例文
旧字:隱元豆
隣の細君は腰に籠を下げて、しきりに隠元豆いんげんまめをむしっている。あの細君もきっと踊ったろう。まさかあれは踊らなかったろうと、争ってみても夢のようだ。
雪国の春 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
親しく出入する人その価附ねづけを見しに、隠元豆いんげんまめの初めて市場に出でしというが一二十本にて代金二分、同じく茄子なす鴫焼しぎやきが代金七両とあるに舌を巻きて驚き
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
この爺さん、平生は一週に一度、一週間分の炊事をするだけだが、今日は、にんじんのために、隠元豆いんげんまめの大鍋を火にかけ、それに、ラードの見事なかたまりをほうり込む。
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
中身には御飯の上に煎鶏卵いりたまご海苔のりをかけて、隠元豆いんげんまめのおかずに、味噌漬がはいっている約束になっていたのだ。お弁当の袋をとるのが待遠しくってならなかったのだった。
この男バナナと隠元豆いんげんまめを入れたる提籠さげかごを携えたるがえりしるしの水雷亭とは珍しきと見ておればやがてベンチの隅に倒れてねてしまいける。富米野と云う男熊本にて見知りたるも来れり。
東上記 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
隠元豆いんげんまめ 一七・五一 二〇・三〇 一・〇七 五三・一九 四・四六 三・四七
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
形容して見ると紫色の蒸羊羹むしようかんの奥に、隠元豆いんげんまめを、いて見えるほどの深さにめ込んだようなものである。眼と云えば一個二個でも大変に珍重される。九個と云ったら、ほとんどるいはあるまい。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
茄子なす隠元豆いんげんまめが煮えておりまするが。」
(新字新仮名) / 森鴎外(著)
隠元豆いんげんまめのスープ 冬付録 病人の食物調理法の「第三十三 隠元豆いんげんまめのスープ」
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
第三十三 隠元豆いんげんまめのスープ も前のに似たものでよく湯煮ゆでた隠元豆を裏漉しにして大匙五杯ほど一合のスープへ加えます。そこで塩味をして五勺の牛乳をしますがこれには玉子の黄身を入れません。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)