閨閥けいばつ)” の例文
いろいろの手蔓てづるを求めては、美しい女を狩り集めて来て、どころ利き所の諸侯へ勧めて、その側室とすることによって、一種の閨閥けいばつ形成かたちづくった。
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
藩論区々まちまちにわかれ、武官文官の抗争があり、それに閨閥けいばつや党派の対立もからまって、荊州は今や未曾有な動揺をその内部に蔵していたからである。
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
事実、諸家の秘録には閨閥けいばつその他の争いから、そんな手段がもちいられた例もあるようだが、それだけの理由であったかどうかは、一概にはきめられないようである。
若き日の摂津守 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「腕に親分の威光とこれから貰う細君の閨閥けいばつを加えて、君なら何年かゝる?」
首切り問答 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
と、はやくも朝倉家の内争や閨閥けいばつのうるさい事情をぬいてあきらめてはいた。けれど、すでに義昭と侍臣の一行は、若狭を発って、この城下へ移ってしまった。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
また閨閥けいばつをひろげて、その一族はみな、枢要の地位を占めている。……これだけ繁栄している柳沢氏が、指をくわえて、綱豊を迎える筈がない。かれらは百方奔走した。
山彦乙女 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
まだ、口には出さないが、そのため、継嗣けいしの争いや閨閥けいばつの内輪事が、世間へもれることも極力さけようと努めているらしい。総じて、彼の方針は、事勿ことなかれ主義をもって第一としていた。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)