間伸まのび)” の例文
亀吉は、間伸まのびのした自分の顔を、二三度くるくる撫で廻すと、多少興味を感じながらも、この降っていたような結果に、むしろ当惑の色をまざまざと浮べた。
歌麿懺悔:江戸名人伝 (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
その日の短祷コレクトの諳誦、聖書のある節の講話、それに續いて聖書の句節の間の間伸まのびのした朗讀が一時間位行はれた。學課が終つた時にはもうすつかり夜は明けはなれた。
繼穗つぎほもなくヌツと出たのは、南部坂下屋敷の裏門を預かる老爺、今まで手内職をして居たらしい埃を拂つて、凡そ胡散臭うさんくささうにガラツ八の間伸まのびのした顏を眺めやるのでした。
などと間伸まのびのした、しかも際立きわだって耳につく東京の調子でる、……その本人は、受取口から見たところ、二十四、五の青年で、羽織はおりは着ずに、小倉こくらはかまで、久留米くるめらしいかすりあわせ
国貞えがく (新字新仮名) / 泉鏡花(著)