門先かどさき)” の例文
お米が無しになると、良寛さんは、山をおりて托鉢たくはつする。家々の門先かどさきに立つて、短い経をんで、一つまみづつのお米や、麦をはちの子のなかへもらふのである。
良寛物語 手毬と鉢の子 (新字旧仮名) / 新美南吉(著)
そしてとある一軒の洒落しやれたお茶屋に入つたので、初めてそれが遊女である事が判つた。馬と主人とはお茶屋の門先かどさきに立つて残り惜しさうに内部なかを覗き込むでゐた。
「とつちやん」とちさすゑ娘に呼ばれて、門先かどさきの井戸のもと鎌磨かまと老爺おやぢもあり。
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
門先かどさきのもえるようにさきさかっているつつじのあいだを通って、いってしまいました。
和太郎さんと牛 (新字新仮名) / 新美南吉(著)