長大息ちょうたいそく)” の例文
声というよりは長大息ちょうたいそくであった。寝床の上の顔にはもう変化が来かけている。秒間をあらそうものが皆の胸をつきあげて来た。
日本名婦伝:谷干城夫人 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一は全く無心の間事かんじである。一は雕虫ちょうちゅうの苦、推敲すいこうの難、しばしば人をして長大息ちょうたいそくを漏らさしむるが故である。
十日の菊 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
「まったく不思議な○○獣だ」と、敬二は自分で撮った写真をじっと見つめながら、長大息ちょうたいそくをした。
○○獣 (新字新仮名) / 海野十三(著)
と云って急に長大息ちょうたいそくするのである。
聞書抄:第二盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
種彦は半ば呑掛のみかけた湯呑ゆのみを下に置くと共に墨摺すみする暇ももどかしに筆をったがやがて小半時こはんときもたたぬうちに忽ち長大息ちょうたいそくもらしてそのまま筆を投捨ててしまった。
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
彼はその間に、熱心に横文字の書いてある原書を幾冊となく読み耽った。そして赤鉛筆でもってところどころに傍線を加えていった。しかし一冊を読み終るたびに、彼は長大息ちょうたいそくした。
地球盗難 (新字新仮名) / 海野十三(著)
博士は、かすかに溜息ためいきをついた。大統領閣下は、嵐のような長大息ちょうたいそくをした。
サミユル博士は長大息ちょうたいそくするとともに、そのあとのことをついにあきらめた。
怪星ガン (新字新仮名) / 海野十三(著)
後を見送ったサービス係は、長大息ちょうたいそくと共に小首こくびをかしげ
夫人はそこで長大息ちょうたいそくした。
ヒルミ夫人の冷蔵鞄 (新字新仮名) / 海野十三丘丘十郎(著)