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レンズ
子爵は心に喜びつつ写真機の前に進み出で、今や
鏡面を開かんと構ふる時、貴婦人の頬杖は
忽ち
頽れて、その身は燈籠の笠の上に折重なりて
岸破と伏しぬ。
鏡面に照して二三の改むべきを注意せし後、子爵は
種板を
挿入るれば、唯継は心得てその
邇を避けたり。
やや有りて彼は
徐に立ち上りけるが、こ
回は更に
邇きを眺めんとて双眼鏡を取り直してけり。
彼方此方に差向くる筒の
当所も無かりければ、
偶ま
唐楪葉のいと近きが
鏡面に
入り
来て一面に
蔓りぬ。