鍍金ときん)” の例文
そのいでたちを見るに、緋房ひぶさのついた鉢兜はちかぶと鋳物綴いものつづりの鍍金ときんよろい、下には古物ながら蜀江しょっこうの袖をちらつかせ、半月形はんげつなりかわ靴をはいた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その上に第二層として更に黄金おうごんの粉末をもって鍍金ときんし、病菌の活躍を封鎖したのだった。
振動魔 (新字新仮名) / 海野十三(著)
裏は一面の鍍金ときんに、しろかねえたる上を、花やかにぱっと流す。淋しき女は見事だと思う。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
頭蓋骨ずがいこつは、その外側を鍍金ときんして髑髏杯どくろはいを作るため、右手は、つめをつけたまま皮をいで手袋てぶくろとするためである。シャクの弟のデックの屍体もそうしたはずかしめを受けて打捨てられていた。
狐憑 (新字新仮名) / 中島敦(著)
おそれおどろきと変じた。欽吾は鍍金ときんわくに右の手をけた。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)