鋳物師いもじ)” の例文
是は普通は旅の鋳物師いもじの、朝早く立つところっているが、幸田さんは雲まで赤くなるようなタタラ吹きは無いから、信州とか筑前ちくぜんとかの地名だと言われる。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
同じ著聞集に天王寺より京に上った中間法師が、山伏及び鋳物師いもじと、遊女の家に泊り合した滑稽談があるが、この中間法師は実に当時の所謂下司法師であった。
間人考 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
そういう町々には、紺屋こんや町とか箪笥たんす町とか塗屋ぬしや町とか鋳物師いもじ町とか呼ぶ名さえ残ります。日本におけるそういう町の名を集めたら、面白い一冊子さえ編めるでありましょう。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
こりゃ童部わらんべたち、一座へ風が通うように、その大団扇であおいでくれい。それで少しは涼しくもなろうと申すものじゃ。鋳物師いもじ陶器造すえものつくりも遠慮は入らぬ。二人ともずっとこの机のほとりへ参れ。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
そしてそのまもり神を金屋子さんと呼んでいるのであろう。後世は鋳物師いもじの事を多く金屋と呼んでいる。
大工町、檜物ひもの町、金屋かなや町、鍛冶かじ町、鋳物師いもじ町、銅町、呉服ごふく町、紙屋町、箪笥町、紺屋こうや町等々工藝の町々が歴史を負って至る所に残る。それらは多く吾々を待っている場所と考えていい。
地方の民芸 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
近江はなぜか鋳物師いもじに縁深く、栗太くりた郡にも愛知えち郡にも多くの故跡がある。
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
庭木に烏瓜からすうりの下つたのは鋳物師いもじ香取秀真かとりほづまの家。
続野人生計事 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
鋳物師いもじなる青銅器の製作とは別に、鍛冶部かぬちべなる鉄の鍛冶の発達を認めたくなった。